【金沢】世界に『禅(ZEN)』を広めた鈴木大拙の世界観に触れられる「鈴木大拙館」では “無”の境地を体感できるかも

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金沢・鈴木大拙館(水鏡の庭)

金沢21世紀美術館から、徒歩10分ほど犀川方面へと歩いた先、住宅街の中にひっそりと佇む「鈴木大拙館」。

 

Apple の創業者でもあるスティーブ・ジョブズが『禅(ZEN)』の思考を取り入れていたことは有名ですが、その『禅(ZEN)』の思想を海外に広く広めた第一人者が「鈴木大拙」だったのです。

 

「鈴木大拙館」は、鈴木大拙の思想?に触れられる、もしかしたら無の境地を感じられるような、そんな素敵な空間でした。

鈴木大拙は金沢市生まれの仏教哲学者

金沢・鈴木大拙館

「鈴木大拙館」という場所があることは知っていたのですが、鈴木大拙がどんな人かというのを、この施設に訪れるまで知りませんでした……(・・*)ゞ

石川県に住んでるくせに……

 

改めて、

鈴木大拙とは、金沢生まれの世界的な仏教哲学者。

1870年(明治3年)金沢市本多町に生まれ、本名は鈴木貞太郎。

「大拙」という名前は仏教の信者としての名前で、24歳の時に鎌倉の円覚寺の和尚から受けた居士号だそうです。

金沢の旧制第四高等学校(現金沢大学)、東京帝国大学(現東京大学)で学び、その後渡米。

2度の長期滞在で、「禅」や東洋関係の本を多数英語で出版。

日本の仏教、とくに禅の文化思想を広め、数多くの名言も残しています。

コロンビア大学では客員教授も務めたそうです。

帰国後は学習院大学教授、真宗大谷大学(現大谷大学)教授を務め、そこでも禅思想の海外への普及に貢献。

晩年は鎌倉に住み、「松ヶ岡文庫」を設立したそうです。

 

「大乗仏教概論」という著書は、初めて西洋に大乗仏教を紹介した名著だそうです。

「禅」という本は、キリスト教との比較などを交えて、初心者にもわかりやすく「禅」につい書かれてるそうです。

 

 

ざざっと略歴をまとめて見ましたが、なるほど、まさに「禅(ZEN)」を海外に広めた第一人者ですね。

 

 

地元にいても知らないことだらけですねー……。

 

鈴木大拙の名言

鈴木大拙館

鈴木大拙は数多くの名言も残してます。

あ、この言葉は鈴木大拙の言葉だったのかと改めて認識したものから、それはもう、ぐっさりと刺さるものまで沢山ありました。

せっかくなので、一部をちょこっと紹介。

「われわれは知性に生きるのではなく、意志に生きるのだ」(禅を説明した言葉)

「禅とは自己の存在の本性を見抜く術であって、それは束縛からの自由への道を指し示す。

言い換えれば、我々一人一人に本来備わっているすべての力を解き放つのだ、ということもできる。」

蒔いた種子はその時期が来ないと芽を出さぬ、葉を出さぬ、枝を張らぬ、花を咲かせぬ、従って実を結ばぬ。

バカな奴は単純なことを複雑に考える

普通の奴は複雑なことを複雑に考える

賢い人は複雑なことを単純に考える

「わしは死神と競走で仕事をする」

などなどたくさんの名言があります。

深すぎてよくわからない言葉もありました。

自分の教養不足なだけですね、はい。

 

金沢・鈴木大拙館

「鈴木大拙館」では、こんな風に鈴木大拙の言葉であったり、展示内容の概要だったりが記された紙が置いてあり、欲しい人が自由に持っていける感じになってます。

自分に刺さる言葉を持っていって、部屋に貼るのもいいですね。

入り口で渡されたパンフレットは内側に紙を挟めるポケットが付いてます。

これすごい便利でありがたいです。

 

鈴木大拙館

ちなみに日本語と英語とありました。

両方持っていって、英語の勉強にも使えますね。

鈴木大拙館は建築家・谷口吉生氏が設計・建築

金沢・鈴木大拙館

鈴木大拙館を設計・建築したのは、建築家・谷口吉生さん。

谷口さんは、京都国立博物館やニューヨーク近代美術館、東京都葛西臨海水族園やGINZA SIX などの設計・建築を手がけてます。

 

ちなみに谷口吉生さんの父親は、建築家の谷口吉郎さん。

東京国立近代美術館や帝国劇場、出光美術館などを手がけてます。

そして金沢の出身ということもあり、つい最近、2019年7月26日に「谷口吉郎・吉生記念金沢建築館」が金沢市寺町にオープンしたんです。

今度行かないとな。

 

金沢・鈴木大拙館

無駄のない空間ってこんな感じかなぁ。

金沢・鈴木大拙館

鈴木大拙館のプレート。

よくわからないけどカッコいい。

3つの棟と3つの庭で構成された鈴木大拙館

鈴木大拙館

施設概要 | 鈴木大拙館より)

 

鈴木大拙館は、

敷地の特長である小立野台地から続く斜面緑地を背景に、石垣や水景などによって金沢を象徴する景観を創造し、その中で鈴木大拙の世界を展開していくことを設計の基本方針としました。

建築は、「玄関棟」「展示棟」「思索空間棟」を回廊で結ぶとともに、「玄関の庭」「水鏡の庭」「露地の庭」によって構成されています。この3つの棟と3つの庭からなる空間を回遊することによって、来館者それぞれが鈴木大拙について知り、学び、そして考えることが意図されています。

施設概要 | 鈴木大拙館 より)

 という意図のもと造られているそうです。

 

鈴木大拙館に入ると、まず「玄関棟(Vestible)」から「内部回廊(Interior Corridor)」という回廊を通って「展示空間(Exhibition Space)」へと向かいます。

内部回廊からはクスノキが植えられた「玄関の庭(Vestibule Garden)」が見えます。

 

「展示空間」には鈴木大拙の書や写真、著書などが展示されています。

 

「展示空間」の次は、「学習空間(Learning Space)」。

「学習空間」には鈴木大拙や禅の本が置いてあり、実際にそこで座って読むことができます。ちょっと図書館みたいな感じです。

「学習空間」の向こうには「露地の庭(Roji Garden)」が広がります。

 

そして「学習空間」を抜けると、目の前に「水鏡の庭(Water Mirror Garden)」が広がり、「外部回廊(Exterior Corridor)」を抜けた先に「思索空間(Contemplative Space)」があります。

 

なるほど、たしかに

  • 「展示空間」で鈴木大拙を知り
  • 「学習空間」で鈴木大拙の心や思想を学び
  • 「思索空間」でそれぞれ自らが考える

という見事な流れになってますね。

 

『禅(ZEN)』の世界とは?

鈴木大拙が世界に広めた『禅』の思想。

海外では「ZEN」と言われますが、正直、なんとなくわかるけどなんとなくわからない!

 

説明しろと言われると、難しいですよね。

 

よく「無」とか「無心」、「無の境地」というけれど。

「無の境地」は、“人間の本能から解き放たれ精神の迷いがなくなった状態” のことらしいです。

悟りを開いたような、どんな状態でもパニックにならない、いつでも平常心ということでしょうか。

難しいですね。

 

「無心」というのは、何もないということではなくて、固定観念を持たず、ありのままに物事や自分を捉えられるようになる状態のことだそうです。

 

変な固定観念なく、そのまんまの状態のものをそのまんま受け取る。

うーん、それってすごい難しいな……

 

ちょっとズレましたが、鈴木大拙館、特に館内の「思索空間」は無心になるのに最適な場所かもしれません。

 

四角い建物の「思索空間(Contemplative Space)」

金沢・鈴木大拙館(水鏡の庭)

「学習空間」を抜け、外部回廊に出ると目の前に現れたのは、水に浮かぶ白い四角い建物。

金沢・鈴木大拙館(水鏡の庭)

この白くて四角い建物が「思索空間」です。

左側の外部回廊を通って「思索空間」へと向かいます。

「水鏡の庭(Water Mirror Garden)」

金沢・鈴木大拙館(水鏡の庭)

「思索空間」の建物の周りを囲む池が「水鏡の庭(Water Mirror Garden)」。

「思索空間」の周りもぐるっと歩けるようになってます。

塀の奥に見えるのは、借景となってる本多の森と松風閣庭園の木。

金沢・鈴木大拙館(水鏡の庭)

「思索空間」から水面を眺めていると、ときどき「ボコン」という音がするんですね。そして水の動く音が聞こえる。

 

なんだろうなぁと思ったら、どうやら定期的に「波紋」を生じさせているそうです。

ちょうど写真の真ん中あたりに水が湧き上がってのるが見えるかな?

金沢・鈴木大拙館(水鏡の庭)

ボコンと浮き上がった水が沈んだ後、水面に「波紋」が広がってます。

金沢・鈴木大拙館(水鏡の庭)

どんどん大きく広がっていく「波紋」。

 

そしてまたスーッと静かな水面になります。

静寂が訪れる。

 

また静寂の中、音とともに波紋が生まれる……

ということが絶えず起きています。

 

でも決しておんなじにはならないんですよね。

面白い。

 

ずーっと見ていられる。

金沢・鈴木大拙館(水鏡の庭)

違う場所から見るとまた違った表情になる。

時間帯や季節によっても変わるんでしょうね。

見えない四畳半

金沢・鈴木大拙館(思索空間)

「思索空間」の内部はこんな感じで、畳張りの椅子が置いてあってゆっくりと腰を落として庭を眺めることができるようになってます。

 

真ん中のあいた空間は「見えない四畳半」と呼ばれてるそうです。

 

金沢・鈴木大拙館(思索空間)

天井を見上げると中心に天窓があり外の明かりが差し込んでる。

金沢・鈴木大拙館(思索空間)

通路以外の3方向には「水鏡の庭」が見えるように大きく開口部が設けられてます。

金沢・鈴木大拙館(思索空間)

じっと、誰もいなくなるまでスマホ掲げて待ちました。

何もない空間を撮りたくなりますよね。

 

ここに座って、じーっと長方形に切り取られた世界だけを見てると、「無の境地」に至りそうな気がします。

 

疲れた時に、ただここでぼーっとしたくなるような、それだけで癒されるような、そんな不思議な空間でした。

「水鏡の庭」は外からも見えます

金沢・鈴木大拙館(水鏡の庭)

ちなみに「水鏡の庭」とそこにまるで浮島のように浮かぶ「思索空間」は外からも見ることができます。

よくパンフレットで見るこの構図、実は館内ではなく外から撮りました。

金沢・鈴木大拙館

鈴木大拙館の奥には「松風閣庭園」や「緑の小径」へと向かう通路があります。

ちょうど写真の左下あたりかな。塀の向こう側です。

金沢・緑の小径から鈴木大拙館

「緑の小径」を中村記念美術館方面へと歩いていくと、塀の途中に切れ目があります。

金沢・鈴木大拙館(水鏡の庭)

鈴木大拙館から見ると、ちょうど左下の白い塀の間の隙間、ここです。

よく見るとわかるかな、この隙間からちょっと「水鏡の庭」へと張り出した場所があり、そこから「水鏡の庭」 と「思索空間」の建物を眺めることができるんです。

金沢・鈴木大拙館(水鏡の庭)

そこから真っ直ぐ撮った写真。

ちょうど向かいに「外部回廊」があります。

金沢・鈴木大拙館(水鏡の庭) 

鈴木大拙館は、展示室の写真撮影は禁止されてます。

ほかの「水鏡の庭」とか「思索空間」などは撮影OK。ただフラッシュ撮影は禁止でした。

鈴木大拙館の場所

金沢・鈴木大拙館(水鏡の庭)

かのスティーブ・ジョブズも思考したという『禅(ZEN)』。

その『禅』を世界に広めた鈴木大拙。

そして、その鈴木大拙の思想に出会い、体感できる「鈴木大拙館」。

これは超オススメです。

むしろなぜ地元にいながらずっと行かなかったのか……

 

金沢を訪れる際はぜひ「鈴木大拙館」にも足を運ばれるといいと思いますよ。

日常のモヤモヤした感情とか、忙しさとかから解放されてすっきりリセットできる空間でした。

 

 

所在地 〒920-0964 石川県金沢市本多町3丁目4−20
開館時間 9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日 毎週月曜日(休日の場合、翌日)、年末年始、展示替え休館
入館料 一般300円、65歳以上200円、高校生以下無料
駐車場 なし
アクセス 「本多町」下車 徒歩約4分
問合せ 076-221-8011
URL https://www.kanazawa-museum.jp/daisetz/

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