【奈良】大神神社の末社「市杵嶋姫(いちきしまひめ)神社」は朱塗りの美しい神社でした

記事内に広告を含みます

市杵嶋姫神社(いちきしまひめ)奈良・大神神社

狭井神社のすぐ近くに、というか狭井神社へ向かう途中、池のほとりに建つ朱塗のお社がありました。

ここは、市杵嶋姫(いちきしまひめ)神社といって、こちらも大神神社の末社の1つです。

 

ちなみにここに祀られている市杵島姫命は、弁財天様のことでもあります。

つまり、財運の神様です!

市杵島姫神社(いちきしまひめじんじゃ)

市杵嶋姫神社(いちきしまひめ)奈良・大神神社

大神神社の末社である「市杵島姫神社」。

狭井神社へ行く途中にある「鎮女池(しずめいけ)」に浮かぶ島に鎮座しています。

 

木造の拝殿が多い大神神社において、ここは珍しく朱塗のお社。

一際目を惹く華やかな感じのお社でした。

市杵島姫命が祀られているからかな。

 

この市杵島姫神社は、桜井市茅原にある末社の富士・厳島社から勧請された神社だそうです。

勧請(かんじょう)は元々は仏教用語なんですが、神道では神仏を他の土地に分霊として迎えて祀ることをいいます。

1956年の狭井神社の鎮女池の改修工事にあわせて、社殿を造営したそうです。

御祭神は市杵島姫命

市杵嶋姫神社(いちきしまひめ)奈良・大神神社

市杵島姫神社の御祭神は、もちろん「市杵嶋姫命(いちきしまひめのみこと)」です。

 

市杵島姫命のお父さんは素盞嗚尊(すさのおのみこと)です。

市杵島姫が誕生した話がちょっと面白いのですが、

 

 

素盞嗚尊が姉・天照大神の治める高天原に来た時のこと。

てっきり、乱暴者で有名なスサノオが高天原を奪いに来たのかと思ったアマテラス。

スサノオは、母に会いに黄泉の国へ行く前に挨拶に来ただけだよ〜と言うのだけど、信じてもらえない。

そこで本当に高天原を攻める気がないのかを証明するために、アマテラスと「誓約(うけい)」という儀式を行います。

 

まず、アマテラスがスサノオから「十拳剣(とつかのつるぎ)」を受け取り3つに折り、真名井の井戸ですすぎます。それをバリバリかみ砕いて、フッと吹くと、その霧の中から、美人三姉妹の女神が現われました。

その時に生まれたのが、

  • 多紀理毘売命(たきりびめ)
  • 市寸島比売命(いちきしまひめ) 
  • 多岐都比売命(たぎつひめ)

の宗像三女神です。

『古事記』と『日本書紀』では生まれた順番が違ったりはしてるんですけど、三女神というのは変わりません。

 

ちなみにスサノオが、アマテラスの「八尺の勾玉」を受け取って噛み砕き、吹き出した息の霧から生まれたのは五柱の男神です。

 

スサノオから生まれたのが、美しい清らかな3人の女神が生まれたから、スサノオの勝ちってことになってます。

スサノオの心に邪心がないからキレイな女神が生まれたんだよってことらしいですけど。

言ったもん勝ちですよねー。

 

このあと、大喜びしたスサノオは乱暴狼藉を働くんですけど(;・∀・)

市杵島姫命=弁財天

市杵島姫命は、朝鮮半島と日本を結ぶ海路を守護する海の神として、朝廷からも信仰されてました。

これが神仏習合思想によって「弁財天」と習合しまして、財福の神・芸能の神・美容の神としても祀られるようになり、広く信仰されるようになるんですね。

 

弁財天の元となるのは、ヒンドゥー教の「サラスヴァティー」という女神。

芸術や学問などの知を司る神さまであり、水と豊穣の神さまでもある。

そして、これまた絶世の美女なんですよ。

これが仏教に取り入れられて「弁財天」と称する守護神になるんですけどね。

 

市杵島姫命も海、つまりは水の神様ですからね。

で、美人3姉妹の宗像三女神の中でも最も美しいと言われてます。

 

まぁ「美人」!ってことと「水の神様」ってとこが共通してるので、同一神のように扱われるようになったんでしょうね。

 

ちなみに市杵島姫命を祀っている有名な神社があるんです!

たぶん市杵島姫命を知らなくても、この神社は知ってるでしょう。

そう、それは……

厳島神社です!

 

日本三景の一つ「安芸の宮島」ですね。

いいなぁ行ってみたい。

世界文化遺産にも登録されてますからね。

 

 

そしてもう1つ、世界遺産に指定された「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」にも祀られている神様です。

市杵島姫神は宗像大社の辺津宮(へつぐう)に祀られています。

 

市杵島姫命の御神徳は、

  • 厄除開運
  • 航海安全
  • 商売繁盛
  • 金運上昇
  • 芸事上達

などが挙げられるので、金運アップを願うなら是非お参りしたい神様でもあるのですよ!

 

あー、ちなみに瀬織津姫命(せおりつひめのみこと)と同一神とする伝承もあるんですよね。さらに瀬織津姫命は天照大神の妃とするお話もあったりで……

この辺掘り下げるとマニアックすぎるので、そのうち機会があれば!

 

三島由紀夫の碑

市杵嶋姫神社(いちきしまひめ)奈良・大神神社

市杵嶋姫命神社の建つ、鎮女池(しずめいけ)。

その池のほとりに三島由紀夫が揮毫した「清明」に記念碑がありました。

 

なんでも『豊饒の海』の取材のために三島由紀夫は大神神社を訪れていたらしい。

記念碑の近くにある説明書きによると、

古神道研究のため昭和41年率川神社 (いさがわじんじゃ)の三枝祭に参列。また8月にはドナルド・キーンとともに神社を訪れ、3泊社務所に参籠。山辺の道を散策し、三輪山に登拝。

三輪山を下りた後、拝殿で神職の雅楽講習終了報告祭に参列。感銘を受け色紙に『清明』『雲靉靆』と書いた。(認めたってあるけど書いたってことだよね)

 後日、三島由紀夫から送られた手紙には、

大神神社の神域は、ただ清明のひとことに尽き、神のおん懐に抱かれて過ごした日夜は、終生忘れえぬ思ひ出であります。

また、お山へ登るお許しも得まして、頂上の太古からの磐座をおろがみ、そのすぐ上は青空でありますから、神の御座の裳裾に触れるやうな感がありました。

東京の日常はあまりにも神から遠い生活でありますから、日本のもっとも古い神のおそばに近寄ることは、一種の畏れなしには出来ぬと思っておりましたが、畏れとともに、すがすがしい浄化を与へられましたことは、洵にはかりしれぬ神のお恵みであったと思います。

山の辺の道、杉の舞、雅楽もそれぞれ忘れ難く、また、御神職が日夜、清らかに真摯に神に仕えておいでになる生活を目のあたりにしまして、感銘洵に深きものがございました。

と、書かれていたそうです。

これを記念して、作家三島由紀夫揮毫の「清明」の記念碑を建立したそうです。

なるほど。

 

ちなみに、三島由紀夫が三輪山信仰と大神神社の神事を本格的に書いた作品は「豊饒の海」の第2巻『奔馬(ほんば)』らしいです。

 

 

第1巻の『春の雪』は、前に妻夫木聡と竹内結子の映画を見た時に読んだけど、全部は読んでないなぁ……

そのうち読んでみようかな。

 

市杵島姫神社の場所

市杵嶋姫神社(いちきしまひめ)奈良・大神神社

大神神社の末社の「市杵島姫神社」は、狭井神社へ行く途中にあります。

朱塗の鳥居とお社が目をひくのですぐわかりますよ。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA